幼少期~小学生時代
ピアノとの出会いは4歳の頃でした。テレビやレコードから流れるクラシック音楽や、歌がとても上手かった母や祖母が歌ってくれたたくさんの曲に合わせて楽しそうに体を動かしたり、登場人物になりきって歌う姿を見ていた家族が「こんなに楽しそうならピアノを習わせてあげたい」とピアノを購入したことがきっかけでした。
ピアノを弾いていると、音楽によってどこか高いところへ運ばれていくような不思議な気分を味わうことに喜びを感じ、次第に自分にとってピアノが大切な存在となっていきました。
割と上達も早かったため、小学校では音楽専科の先生にスカウトされ6年生の時には合唱部でピアノを担当することになりました。
当時、こども音楽コンクール全国大会上位常連校で練習はハードで曲もかなりの数をこなしていましたが、おかげで楽譜を読む力が自然と身につき、またたくさんのステージ経験を積んだことで聴衆に好きな音楽が伝わる喜びややりがいを感じることができました。
その頃顧問の先生から新しいピアノの先生を紹介され、レッスン以外にもコンクールへの参加を勧めてくださったり、コンサートの譜めくりで何度もご同行させていただいたり、共演の演奏家の方々とお話できる機会に恵まれたことでとても充実した時間を過ごすことができ、次第に私も音楽の世界により深く携わりたいという想いが強くなりました。中学ではヴァイオリン音楽に熱中し、楽譜やCDを買い集め夜遅くまで聴いて研究し、実際にパートをピアノで弾きアンサンブルとソロ演奏の違いを楽しんだり。高校では映画・読書や図書館通いの毎日でした。ソルフェージュや聴音の学びを活かして、好きな映画のサウンドトラックから楽譜を作ってみたりとピアノレッスンとは直接関係ないことばかり。映画では洋画・邦画新旧問わず何でも観ていました。様々な状況に生きる人々が持つ繊細な感情の揺らめきに接し、多感な思春期に得た独学の中での気づきが現在でも日常に大いに役立っています。
音大~イタリア留学時代
音大進学で上京し、多くのコンサートに足を運び、図書館へ通い、コンクールに挑戦したりと研鑽を積みました。
声楽科の学生達との交流が多かったため、美しく旋律を歌うためにはどのように工夫しているのか、ピアノの世界の外を知ることでより幅広く音楽への理解を深めていく良い経験ができました。
大学卒業後は、セルジオ・ペルティカローリ先生のもとで学びたいとイタリアへ渡りました。
基礎技術の磨き直し、体の使い方などかなり時間をかけて丁寧に教えてくださり、色彩感・フレーズ感の中に美意識を高めていく手法を学びました。また異文化の中で生活することで、日本人と外国人それぞれ特有の文化・生活習慣・リズム感・体の使い方などの違いがピアノ演奏に表れる事を痛感し、自分の考え方を見直すことを最重要視することで物事の捉え方が拡がり、後の演奏にも大きく影響しました。
帰国後~現在
帰国後お世話になった先生方には、生徒さんそれぞれの個性に応じたピアノレッスンの仕方や楽曲の読みを感覚だけでなく、論理的かつ構成的に見る大切さを学びました。
演奏経験を数多く経験し、結婚~子育ての日々の中で新しい価値観に触れたことは自身の成長にも繋がり、ひとりひとりの生徒さんや親御さんのお気持ちに向き合う上で大きな転機となりました。
そしてレッスンでは音楽を心から楽しみ、生徒さんの好奇心の芽を大切に見守っていきます。
後進者育成に向けて
この経験を活かし、ひとりひとりに最適なレッスンには何が必要かを常に考え反映し、表現豊かな演奏ができるよう取り組んでまいります。
そして音楽と共にある時間が豊かになり、皆様が幸せを感じる日常に繋がりますよう心から願っております。
山岸香織